記憶の宮殿は、試験のうちリストや順序になっている部分を覚えておくのに役立ちます。プロセスの手順、戦争の原因、手の骨、論述問題の答案の構成などです。よく知っている道順に沿って、項目ごとに鮮やかなイメージを地点に置き、試験中は頭の中でその道順をたどります。このガイドでは、章を道順に変える方法を3つの実例とともに紹介し、復習のしかたと、役に立たない場面についても説明します。
この技法が初めての方は、まず記憶の宮殿の作り方:5つのステップを読んでから、ここに戻ってきてください。
試験で記憶の宮殿が役立つもの
- 順序:体細胞分裂の段階、計算方法の手順、ある時代の出来事の順番。
- 漏れなく再現しなければならないリスト:ある事柄の原因、器官の各部分、グループのメンバー。
- 名前と年号:誰が何をしたか、それはいつか。
- 長い答案の骨組み:論述問題で書く5つの論点を、書きたい順に。
- 外国語の単語:1つの言語専用の宮殿に、1語ずつ。
新しい問題を解くような、理解したり応用したりしなければならないものには、あまり向いていません。宮殿は要素をしまっておくもので、説明はしてくれません。まず理解し、それからしまいましょう。
学生に効くのか:研究でわかっていること
2014年、教員のグループが Advances in Physiology Education 誌に研究を発表しました。医学生たちは内分泌学について同じ講義を受けました。一方のグループはその後自分で勉強し、もう一方のグループは場所法を使って内容を学ぶ対話型のセッションを受けました。後者のグループは評価試験の成績が有意に高く、学生たちもこの技法は役に立ったと答えています。
この技法は、それまで一度も使ったことのない人にも効きます。2017年に Neuron 誌に発表された研究では、初心者が1日30分、40日間練習し、72語のリストから思い出せる数が26語から62語に増えました。
試験にとって大切な研究がもう1つあります。2006年、ヘンリー・ローディガーとジェフリー・カーピキーは、文章について自分をテストした学生のほうが、同じ時間をかけて読み直した学生より、1週間後に多くを覚えていることを示しました。宮殿をたどり、答えを見る前に1つずつ思い出すことは、まさにこのテストにあたります。
章を記憶の宮殿に変える方法
- まずリストを作る。 章を読みながら、再現できなければならないことを、覚えたい順番に書き出します。短くまとめましょう。1つの宮殿に5から20項目です。
- その章のための場所を選ぶ。 1つのテーマに1つの宮殿です。生物には自分の住まい、歴史には学校、フランス語には祖父母の家。場所を分ければ、テーマが混ざりません。
- 道順を決めて地点を選ぶ。 項目と同じ数の地点を、それぞれはっきり違うものにします。
- 1つひとつを目に見えるものにする。 抽象的な言葉には代わりが必要です。響きの似た言葉、物、人物。イメージは大きく、動きがあって、少しばかげているくらいにし、地点と何かをさせましょう。
- たどって、自分をテストする。 確かめる前に、すべての項目を思い出します。その晩、翌日、数日後にもう一度行います。
3つの実例
1. 生物:体細胞分裂の段階
前期(プロフェーズ)、中期(メタフェーズ)、後期(アナフェーズ)、終期(テロフェーズ)。英語名のカタカナの響きをイメージの手がかりにします。道順は、玄関のドア、廊下、キッチン、リビングです。
- 玄関のドア:背の高い帽子をかぶったプロの料理人(プロフェーズ)がドアをふさぎ、巨大なスパゲッティのかたまりをほどいています。染色体が見えるようになる様子です。
- 廊下:廊下の真ん中にメタル探知機のゲート(メタフェーズ)があります。通り抜けるには、すべてが真ん中に一列に並ばなければなりません。
- キッチン:アナコンダ(アナフェーズ)が、スパゲッティをキッチンの両端へ引き離していきます。
- リビング:テレビ(テロフェーズ)が2台のテレビに分かれ、それぞれに別の映像が映っています。
2. 歴史:第一次世界大戦の原因
よく使われる覚え方は、軍国主義、同盟、帝国主義、民族主義、そしてサラエボでの暗殺です。学校までの道の5か所を使います。
- 自宅の門:兵士たちが足並みをそろえて庭を行進しています(軍国主義)。
- 角のお店:店員たちが手首を鎖でつながれていて、1人が動くと全員が動きます(同盟)。
- バス停:王冠をかぶった人たちが、巨大な地図をびりびりに引き裂いています(帝国主義)。
- 橋:街灯の1本1本がそれぞれ違う国旗に包まれ、大声で叫んでいます(民族主義)。
- 校門:車が止まり、銃声が響き、帽子が落ちます(サラエボ、1914年)。
3. 論述問題の答案
出題が予想される論述問題について、5つの論点とその順番を決め、5つの部屋に論点ごとのイメージを1つずつ置きます。試験では部屋をたどりながら、部屋ごとに1段落ずつ書いていきます。途中で論点を1つ落とすことがなくなります。
無料の記憶の宮殿ジェネレーター(無料ツール、現在は英語のみ)が道順を作ってくれます。最大20項目を入力すると、ヴィラの中の20か所に配置し、それぞれにイメージとテストを用意します。印刷したり、クラスメートにリンクを共有したり、翌日もう一度たどるためのリマインダーをカレンダーに入れたりできます。こちら側には何も保存されません。
試験前の復習のしかた
- 確かめる前に思い出す。 リストを隠して道順をたどります。そのあとで抜けていたものを確認し、そのイメージをもっと奇妙にしましょう。
- 間隔をあける。 その日、翌日、数日後、そして試験の前日。長時間まとめてではなく、短くたどるのが効果的です。
- 一度は逆順にたどる。 逆からたどれれば、イメージはしっかりそこにあります。
- 宮殿を分けておく。 試験が終わるまで、同じ宮殿を新しい章に使い回さないでください。
役に立たない場面
記憶の宮殿で、証明を理解したり、資料を読み解いたり、初めて見る問題を解いたりできるようにはなりません。作るのに時間もかかるので、何にでも使うのではなく、記憶から本当に再現しなければならないものに使いましょう。そう使えば、試験勉強でいちばん疲れる部分、リストの丸暗記を、数回の散歩で済むものに変えてくれます。
先生方へ:ジェネレーターはアカウントもメールアドレスも不要なので、生徒が授業中に使えます。あわせて覚えていることと忘れることがあるのはなぜか(英語)もお読みください。
出典
- Qureshi ほか、内分泌学の学習を助ける記憶術としての場所法と、評価試験で測った学生の成績向上(The method of loci as a mnemonic device to facilitate learning in endocrinology leads to improvement in student performance as measured by assessments), Advances in Physiology Education 38(2014年):journals.physiology.org/doi/full/10.1152/advan.00092.2013
- Roediger, Karpicke, Test-enhanced learning: taking memory tests improves long-term retention, Psychological Science 17(2006年):profiles.wustl.edu/en/publications/test-enhanced-learning-taking-memory-tests-improves-long-term-ret
- Dresler ほか, Mnemonic training reshapes brain networks to support superior memory, Neuron 93(2017年):cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(17)30087-9